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「会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦」魚谷雅彦著 ディスカヴァー・トゥエンティワン

著者の魚谷雅彦氏は日本コカ・コーラ取締役会長で、2007年7月から2010年6月まで3年間、NTTドコモ特別顧問として兼務した。
この書はその3年間のマーケティング変革の軌跡である。
5つのフェーズで構成されている。

フェーズ1 現状を知るーお客さま起点の会社になろう!

現状をできるだけ正確に把握し、分析し、問題点を明確にすることが不可欠という。
それによって、ミッションを実現していくための具体的なビジョンを描くことができるのだから。
ステップとして、何が問題かを知り、組織の課題を知り、変革しようという意志を共有するというように分けられる。
ドコモ改革のテーマは、お客さま志向になることであり、マーケティング発想で考えることであり、それによるブランドの再構築であるということだった。


フェーズ2 ビジョンを設定するーわたしたちのあるべき姿はこれだ!

ドコモはブランドのパーソナリティとも言うべき、突き抜けた特色や差別性がまるでなくなっていた。
そして、統合的なアプローチが欠けているのでひとつの方向にまとめていく必要があった。
「手のひらに、明日をのせて。」というスローガンが生まれる。
ブランドロゴデザインを世界的な潮流の小文字、しかも暖かみのある赤がいいと「赤い小文字のdocomo」にした。


フェーズ3 戦略をつくり実行するーお客さまとの絆をつくろう!

とりあえず安心だからドコモに、という人は多い一方、それなりの目的をもって使いこなしたい層では、競合に圧倒的なシェアを奪われていた。
ドコモが向かうべきは、「お客さまから優先的に選択され、長く愛されるブランド」ということばが導きだされていった。
ロイヤリティの高いお客さまを増やすことこそ、ブランド価値と収益を向上させるという仮説ができた。
ロイヤリティ向上を目指したアクション例として、プレミアクラブの強化、お客さまの求める端末の提供、端末の使いやすさ向上、お客さまの声に対応したエリア改善、きめ細かい料金対応、世界での利便性向上、フロント支援の充実を行った。
また、事業本部制を廃止し、マーケティング戦略の旗振り部門を新設するという、大胆なドコモの組織改革を行う。


フェーズ4 一人ひとりの意識を変えるー社員の心を動かすインターナル・マーケテイング

社内変革「ワンドコモ活動」のスローガン
・一人ひとりのお客さまの暮らしに
・ドコモが一丸となって
・社員一人ひとりの熱意と能力を最大に
・ナンバーワンのロイヤリティサービスを実現し
・お客さまにとって、オンリーワンの存在になる

「新ドコモ宣言」変革のビジョン
①ブランドを磨きなおし、お客さまとの絆を深めます
②お客さまの声をしっかり受け止め、その期待を上回る会社に変わります
③イノベーションを起こし続け、世界から高い評価を得られる企業を目指します
④活き活きとした人材で溢れ、同じ夢に向かってチャレンジし続ける集団となります


フェーズ5 継続の仕組みをつくるーつねにメッセージを送りつづける

6つの地域ごと、端末やサービス、ネットワーク・品質といったカテゴリーごとに、お客さまの「ロイヤリティ」度がどう変わったのか、毎月、スコアリングをしていく。
目的は、そこから次の対策を明らかにし、新たなアクションにつなげていくこと。
物事を継続していくには、その経過を可視化する、シンプルな仕組みをつくることが重要であるということや、トップが本気になれば、みんなも動く、ということを実感。
「1回だけ勝ってもダメ。継続が重要だ」というメッセージを送り続ける。


2006年の「ケータイ満足度調査」では、5つの項目すべてにおいてNTTドコモは競合他社に惨敗状態だった。
しかし、マーケティング変革により2010年の「ケータイの満足度調査」では、NTTドコモが堂々の1位を獲得した。
なかでも、「顧客対応力」「電話機」「通話品質・エリア」「非音声機能・サービス」に対する評価では、競合他社を大きく上回った。


この書を読んで、経営陣やリーダーは、現場の社員の生の声を聞くことはとても大事だと思う。
現状把握や問題点を導き出すことはもちろん、コミュニケーションを取ることに意味がある。

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会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦

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