「電通と博報堂は何をしているのか」中川淳一郎著星海社新書

本書は博報堂出身の著者・中川淳一郎氏が、十数名の電通・博報堂現役社員に取材をして得た情報をもとに書き上げたもので、広告業界の実態を解説し、その背後にあるビジネスの仕組みや社会的影響を掘り下げた書になる。

全4章で構成されている。

中川氏は、広告業界の営業活動やプロセスについて、時に鋭い視点で批評している。

広告代理店の仕事がどれほど多岐にわたり、表面的には華やかでもその実態が複雑であることを明らかにしている。
過労問題も深刻な問題である。

社風の違いとしては、博報堂はスタッフが強く独立志向が強いのに対し、電通は「仕事を取ってきた営業が偉い」という雰囲気があるそうだ。

電通や博報堂のような大手がどのように社会や企業の影響力を持っているのかについては、詳細に説明されており、非常に興味深かった。

また、電通や博報堂がどのようにして収益を上げ、企業とどのように取引を行っているのか、またそのビジネスの仕組みについても触れている。

業界の収益構造や、広告主との関係の中での力学が明かされ、重要な知識を得られる。

さらに中川氏は広告業界がどのように社会や文化に影響を与えるのかについても考察している。

企業の広告活動が消費者に与える心理的な影響や、メディアとの関係性について深く掘り下げており、広告が単なる商品やサービスの宣伝にとどまらず、社会全体の動向にどれほどの影響を持つかを論じている。

広告代理店は、社会と客を繋げることが大切で、広告の重要な役割は、企業が言いたいことをより消費者にとって魅力的に感じる言葉・表現で伝えることであると述べている。

全体として、本書は広告業界の内幕を知りたい人にとって非常に有益な情報を提供しており、電通や博報堂を中心に、広告業界がどのように運営され、社会に影響を与えているかを理解するための良い手引き書となった。

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