著者の高井尚之氏は経済ジャーナリスト、経営コンサルタントである。
本書は全5章で構成され、カフェと日本人を、時に正面から、時にナナメから語られている。

実在が確認されている日本で最初のカフェは、1888(明治21)年、上野に開店した「可否茶館」といわれるそうだ。
コーヒーを飲むだけでなく、店内にはトランプやクリケット、ビリヤード、碁や将棋などの娯楽品を置き、国内外の新聞、書籍も揃え、化粧室やシャワー室も備えていたという。
交流や知識吸収といった場でもあるのが面白いところだ。


現在の日本におけるカフェの基準は、外資系カフェが持つ、外観や内装、店内の雰囲気といった世界観にある。
私もカフェが好きでよく行くが、居心地は重視する。

昭和の喫茶店では注文の6~7割がブレンドとアメリカン、アイスコーヒーだったので、メニュー開発もあまりもあまり求められなかったのに対し、スタバの定着とカフェブーム以降、21世紀に入ってから、ドリンクのメニュー開発が急激に進んだというのは大きな変化と言えよう。

本書では、「カフェラテ」「カプチーノ」「カフェオレ」の違いについても触れられていた。
「カフェラテ」はエスプレッソにスチームミルク(蒸気で泡立てた牛乳)を注いだもので、エスプレッソ1割に対してミルクが9割ぐらいと量が圧倒的。
「カプチーノ」はエスプレッソ+ミルクというのは同じだが、スチームミルクの泡立たせ方が、カフェラテよりも多い。
「カフェオレ」は昔から喫茶店にあり、ブレンドコーヒーにミルクを入れたもの。

進化を遂げたといえば、カフェはノマドワーカーの味方として、「個人作業」や「一人時間」の場として活用されるようになった。
Wi-Fiや電源の環境が整い、パソコンやタブレット、スマートフォンの画面を開いてビジネス文書の作成や資料の修正、SNSを更新するのが当たり前の時代になった。
私を含めて多くの人が恩恵を受けているだろう。

地域的なものでは、総務省統計局「家計調査」で、一世帯当たりの喫茶にかける支出が突出しているのは名古屋市と隣県の岐阜市というデータも興味深かった。
また、カフェ好きが集まる聖地として、全国各地の地元民や観光客に愛されるカフェの紹介もしていて、それぞれに個性があって面白かった。

現在、「カフェ」という言葉は、店だけを示すものではなく、交流場所のような意味でも頻繁に使われているのも確かにそうである。
21世紀の日本で暮らす生活者(日本人に限らない)にとって、もはやカフェは「人と場所の代名詞」というのはもっともだと思った。