著者の佐々木俊尚氏はジャーナリスト、評論家としてメディアでも有名な存在である。

さて、本題のキュレーションという言葉だが、耳にしたことがある人も多いと思う。
本書のはじめにはその説明がなされていたので引用する。

「無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること。」


情報も2000年代に入るころから、マスメディアが発信した情報と個人が発信した情報の境界線もあいまいになってきたという。
それだけ個人でも専門性を持った力のある人が情報を発信しているという場面を見た人も多いのではなかろうか。

佐々木俊尚氏も2009年の終わりごろから、キュレーションという新たな可能性を感じるようになり、ツイッター上で自分自身によるキュレーション活動を実験的にはじめたそうだ。
佐々木俊尚氏は日ごろから膨大な量の情報をウェブ上で収集しており、その中から非常に重要だと思った記事について、多くの人と共有するためにコメント付きでツイッターで提供している。

個人が良質なコンテンツを発信し、信頼を得ていき、より多くのファンを獲得する時代と言えよう。
中には応援消費という形で有料のものを購入している人もいる。

また、無数のキュレーターと無数のフォロワーが、日々接続を繰り返しながら情報の交換を行っている。
情報がそうやって常にリフレッシュされているのだ。

本書は全5章からなり、新書にしては分量もある。
カタカナの専門用語も結構出てくるので読み進めづらい部分もあるが、情報の生態系を知るという意味では面白いと思う。

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キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)