著者の松岡修造氏は、元プロテニス選手である。
現在はレポーター、スポーツキャスターなど幅広く活動しており、日本応援団長と言ってもいい。
テニス選手として世界を転戦した松岡氏の13年間は、常に応援の力とともにあったという。
不安、プレッシャー、緊張に押しつぶされそうになる、そんな時にこそ、応援してくれる人の思いを力に変えてコートに立つことができたそうだ。
1995年のウィンブルドン選手権3回戦で劣勢だった時に、会場から「修造、自分を信じろ!」と日本語の声援が聞こえてきて、気づきを得て、そのあと勝つことができたエピソードも語っている。
この選手権では続く4回戦も勝ち、ベスト8まで進出している。
自分はスポーツは見る側で、応援するほうなので、選手がこのようにとらえて力に変えてくれるのはうれしいものである。
松岡氏は現役を卒業した後も、報道の取材で多くのアスリートに出会い、そのたびに、自分の限界に挑む彼らの姿から多くの感動をもらってきたという。
応援はスポーツだけに限らず、仕事や家庭などの日々の生活、そのすべてでみんな、誰かに応援し、そして誰かから応援されているのがわかる。
応援の方法はそれぞれに見合ったものがあるというのは気をつけなければいけないところだ。
松岡氏はその人にとっての最善の応援とはどういうものかをいつも考えているという。
一様に、声高に応援している自分を伝えようとすることがベストなわけではなく、心静かに言葉ではなく、その人をただただ信じてじっと待つ、これも立派な応援にほかならないと述べている。
あまり応援について深く考えたことはなかったので、色々と考えさせられた。
自分で自分を応援してみることも大事なことだと思った。
本書を読んで、応援の持つ力は、人と人とを結びつけてくれるコミュニケーションには欠かせないものということがよくわかった。
なんだか温かい気持ちになった。
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