まずはじめに本書を知ったのは、イベントで著者の杉山直隆氏と話をする機会があり、その時に持っていたのを見せてもらったからである。
後日、書店で買い求め、読んでみた。
ライター歴25年以上というキャリアを積み上げた杉山氏が「つかみ」を書くときのポイントについて全4章にわたってまとめ上げられた書になる。

「文章の書き出し」である「つかみ」は、冒頭の1行目から10行目ぐらい、文章量で言えば、最初から200字、300字くらいに相当する部分だそうで、読み進めてもらうためにその重要性は誰もが感じているところであろう。

インターネットの時代には、「以前と比べて、読み手に時間の余裕がなくなっているから」というのは自分も含めて、「つかみ」がいかに大きなウエイトを占めているのがわかる。

では、インパクトのありそうなことを漠然と「つかみ」に持ってくるだけではなく、方向性をしっかり定めるには、次の3つが必要になるので紹介しておきたい。

「どんな読み手に向けて書いているのか」
「そもそも、この文章で何を伝えたいのか」
「つかみ」を考えるときには、構成も一緒に考える

そして、「つかめるつかみ」について本書では、次のように定義している。

・最初の数行だけで、何らかの期待を持つことができ、続きが読みたくなる
・全部読んだときに、「期待に応える文章だった」と感じられる

検討事項としては、「最もおいしいネタ」のなかで、文中に埋もれやすいネタには次の3つが紹介されている。

①最も伝えたいポイント
②印象的な情景・シーン
③気持ち・感情

これらを「つかみ」に持っていくというのだ。

また、読み手を惹きつけるアクセントの手法についても次の14の手法がピックアップされている。
実にこれだけの手法に驚いたし、検証してみる必要があるだろう。

①セリフからはじめる
②問いにする
③数字を入れる
④データを加える
⑤常識や先入観を否定する
⑥「抽象的な言葉」で匂わす
⑦「なじみのない言葉を使う」
⑧「例」を羅列する
⑨繰り返す
⑩オトマノベを使う
⑪ナレーションを入れる
⑫イベント仕立てにする
⑬「サスペンス」風にしてみる
⑭「書簡体小説」風に書いてみる

そのほか、専門用語やカタカナ言葉のような難しい言葉を、誰でも理解できるような「わかりやすい言葉」に変えることも、読者に読み進めてもらうには重要と感じた。

最後に本書を読んでみて、例文も豊富におさめられており、読みやすくわかりやすかった。
ただ漠然と文章を書き進めていくのではなく、「つかみ」をしっかり意識していきたいと思った。

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文章は「つかみ」で9割決まる